日本語論文管理ツールの検討(2) EndNoteX7法学文献パック

[alert title=”注意”]※この記事は2015年のEndnoteX7について書いたものです。2018年現在はEndnoteX8がリリースされています。

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30日トライアルで「EndnoteX7」を試す!

日本語文献管理ツールについての前回の検討では、Endnoteについては触れなかった。

Papers3とMendeleyについて試してみたけど、やはり日本語文献では全然使えない。

そこで、30日トライアルのEndnoteを試してみることにした。

なぜMendeleyではダメなのか

私は法学研究科のドクターです。

で、法学という分野においては、と~ってもデジタル化が遅れておりまして、今でも紙が様々な主流なのです。

ちょっと古くなると論文のPDFファイルがないのはザラです。だから、Mendeleyではだめなのです。

普段の論文の集め方について

かろうじて、大学のVPNを経由してCiNiiで検索することによって、論文や著書は見つけられますが、大体PDFになっていません。

図書館に出向いてコピーしなければならない。

そして、論文より何より一番遅れているのは、判例のデータです。

専門の法によって、デジタル化がさらに遅れている所もあります。

刑法の子たちは結構iPad使ったりしていましたけど、私がやっている労働法ではやはり紙媒体が普通で、自分で図書館へ行って判例雑誌をコピーして研究会に持参するのが普通でした。

お金に余裕のある先生は自分用に購読して雑誌持ってたりしますが。

で、図書館のコピー機でコピーすると大体は美しくなく汚れています。

そして、そういった複写をScanSnapなどで取り込んでも文字認識(OCR)がきちんと通らないことがほとんどで、取り込むだけムダです。

デジタル媒体は、某雑誌については、DVDで出ていますが、最新版は契約して送って貰わないといけないみたいです。

最高裁や地裁などでも、有名な事件、いわゆる○○事件と書いてある有名な事件になるとPDFでおいてくれていることがありますが、教科書に載るレベルでなければおいてくれません。

Endnote×Word×法学文献管理

さて、メインの話に移ります。Endnoteは、高いですが、それなりにきちんとしています。私が欲しい機能は最低限備わっていますし、なにより…

なにより、日本語に対応しています(真顔)

私は、Endnote利用計画として、以下のようなチェックポイントを用意しました。

  1. CiNiiから文献情報を簡単に取り込むことができるか?
  2. 日本語の検索に対応しているか?
  3. メモやキーワードを設定できるか?
  4. Wordとの連携。脚注を挿入するときにワンボタンで使えるか?
  5. 日本の法学の引用スタイルが使えるか?

一応、苦労しましたが全部クリアできたので安心しています。

1.CiNiiから文献情報を簡単に取り込むことができるか?

簡単でした。…まあ、ちょっと他のよりはあれですけど。

CiNiiで検索→文献を表示する→右下の「EndNoteに書き出し」→ダウンロードしたファイルを開く

これでEndNoteが勝手に起動してくれて簡単に情報を突っ込むことができました。

2.日本語の検索に対応しているか?

筆者名でもタイトルでも、そしてキーワードでも、普通にひっかかってくれました。安心。

3.メモやキーワードを設定できるか?

情報の下の方に、KeyWordsという所があるので、そこにカンマで区切って適当に関連ワードを突っ込んでおけば、検索かけたときにちゃんとひっかかってくれました。

4.Wordとの連携。脚注を挿入するときにワンボタンで使えるか?

やはり主流はMicrosoftのWord。しかも、事務関連のファイルはdocで回ってくることもある(死)。docxでは開けないバージョンを使っている先生もいるのだ…!

いつのパソコンだよWORD2003かよ…?excel方眼紙と同じ都市伝説じゃないのかよ?って思う方もいるでしょう。

excel方眼紙も現実に存在するのと同じでdocの事務ファイルは存在します。ええ。

うちの師匠もXPのサポートが終了すると聞いて業者さん呼んで7にアップデートしていたので他人事ではありません。

というわけで、せっかくなのでWordとの連携ができるかも確認しました。

……試行錯誤の上、色々あきらめたのですが、まずですね

(1)法学文献パックをダウンロードし、導入する。

http://www.harada.law.kyoto-u.ac.jp/research/endnote.html

法学文献パックを導入します。インストール方法はダウンロードページにあるのでそのままやる。

Programfilesは普通のほうにEndNoteのフォルダがなかったらx86のほうにあるのでそちらで対処。CiNiiのも忘れずに導入しておきます。

(2)Wordへの引用のやり方

私は、脚注はWordのほうで管理したいので、Endnoteからは情報だけ書式なしで送って貰えればそれでいいと思ってます。これがなかなかうまくいかなくて、とりあえず現状は…

Wordの脚注いれたい場所で脚注ボタンまたはAlt+Ctrl+Fを押す

Endnoteで文献を選んで右クリックし、Copy Formatted

Wordの脚注の数字しか入ってない所で右クリックして「t」キーを押す(右クリックして貼り付け、「テキストのみ保持(T)」の動作を一発で行えるようにしている)

すると、見事に、本文と同じ書式で美しく揃って無駄なくコピーされました。よかったよかった。

5.日本の法学の引用スタイルが使えるか?

上記法学文献パックをインストールして導入していれば大体問題ないはずですが…

なぜか私の場合だけかもしれませんが、氏名が、「名前,苗字」の順で、つまり思っているのと逆の状態で表示されてしまいました。

たぶん外国文献の引用に最適なようにつくられているのでしょう…。

日本の解釈論をやる場合にはどうしても日本語文献のほうが多いので、デフォルトは日本人用にしてしまいます。

Edit→Output Styles→Open Style Managersで、「Japanese Law」にチェックが入っているはずです。Japanese Lawを選択し、「Edit」を押します。

「Citations」「Bibliography」「Footnotes」の3つに「Author Name」があるので、3カ所全ての名前を、苗字 名前の順番にします。

EndnoteのメニューバーのFileからSave As を選択し、名前を「Japanese Law Copy」とでもします(基のファイルを残す必要がなければ、Edit画面の右上×ボタンで上書きすればよい)。

そして、Output StylesからJapanese Law Copyを選択します。ついでに、Import Filtersのほうも、ManagersからCiNiiにチェックが入っているか確認してください。

こんどはEndnoteを開いたまま、WordのEndnoteタブで、StyleをJapanese Law Copyにします。

これで、4で紹介した方法をやればばっちりです。

日本語論文ツールと法学研究の今後

自分と同じ法のお偉い方に聞いて回ったところ、みなさん万能に管理することを諦めているようです。

紙媒体で管理なさっている方もやはり多くいらっしゃって…。

しかし、腱鞘炎で注射を打ったことのある自分としては、手書きの京大式カードは流石に無理だし、アナログも好きだけどデジタル大好き人間としてそして効率主義者として、デジタルツールの研究は法学の研究より好きなのです(だめだこりゃ)。というわけで、こういうブログで成果を述べざるを得ない。

文献をデジタルで管理する方法

さて、デジタルツールでは以下のようなやり方を教えて頂きました。

  • SugarSyncやDropboxを使って、作成する論文や仕事毎にファイルを一つ作り、必要なPDFデータを全てそこにコピーして入れる。閲覧はIpadのGoodReaderで行う。
  • 論文管理専用のGmailアドレスを作り、そのメールアドレスに対して、PDFや感想といっしょに送信しておく。簡単に放り込めて、探すときは検索をかけられるのが強み。

Gmailのほうは、なるほど!その手があったか…!と、デジタルには自信のある私ですが目から鱗でした。

たしかに、おっしゃる通り、簡単に放り込めて検索も使えるのは強いです。

教えて下さった先生は、「完璧に文献管理しようとしても自分には無理だし、論文を書く方が大切だと思った。でも検索はかけられないと不便なので、こういうシンプルな形で管理するのが自分には合ってる」というような感じのことをおっしゃっていました。

ごもっともですよね。収集に時間がかかってしまって論文読んだり書いたりができなかったら無意味ですもの。

文献管理というとオールインワンのような気がしてしまうけど、実は違うんだなって思います。

  1. 「所持文献リスト」「今回の論文用の資料一覧」の役割を果たすもの。
    →検索、ソート機能が問われる。できれば、一行で表になってくれるのが見やすくて良い。最悪、Excelでも代用できる。
  2. 「読書ノート」の役割を果たすもの。
    →その文献を読んだとき感じたことをメモしておく。京大式カードやEvernoteなど。
  3. 「PDF管理」の役割を果たすもの。
    →ゲットしたPDFがあちこちに散らないようにつっこんでおく。DropBoxなど。
  4. 執筆の際、「文献カード」「文献要約」「論文資料」の役割を果たすもの。
    →元のデータではなく、その論文に必要な部分だけ抜き出したりしたもの。Evernote、京大式カード、ブレインストリーミング用のカードなど。
  5. 執筆の際、脚注引用の効率化をはかるもの。
    →MendeleyやEndNoteのWordに対する引用機能

1は、自分が見たことある論文、知ってる論文、読んだことある論文の一覧になります。こいつのリストが存在していないと、同じ論文を何回もコピーしたり読んだりしてしまいます。

2は、論文執筆関係ないときに、思ったことを書き留めておくものです。アイデアカードみたいなもの。

3は、紙でいうところのファイルやフォルダの代わりです。なくさないため。

4は、論文を書くときにあっちこっちばっさばっさやらないために、執筆に必要な部分だけを用意するもの。人によってはこれは作らない要らない人もいる。

5は、本の奥付を見ながら、読みにくい著者名や発行年をちまちまそのたびに入力する手間を省くもの。

私の場合、こないだの論文は、Excelでリストを作成し、読書ノートはEvernote、PDFはDropbox、文献カードはEvernoteで作って京大式カードに印刷、脚注はCiNiiからコピペと目で確認でした。超絶時間かかった。これも実験なのだ…

EndNoteが使えるようになったことで、私としては、

  • 全所持資料一覧、PDF管理、脚注効率化=EndNote
  • その論文で使う資料の一覧=Excel
  • 読書ノート、文献カード=Evernote、必要あらば京大カードへ印刷
  • PDF資料のバックアップ=Dropbox

という風にしていこうと思います。EndNoteが使えるようになったことで、CiNiiからの取り込みも圧倒的に楽になりました。今まではCiNiiからコピペでExcelに貼り付けていたのです。まだやっていませんが、選んだ文献だけExcel形式でリスト書き出しとかも対応してそうですし、まあ、お金を突っ込んで楽にデジタルしてみようかなと思います。

次の論文でデジタル的な意味で成果が出たら、また書き記そうと思います。

2018年追記

結局、この後どうなったかというと、Endnoteが諸事情で使いにくかったので、究極のアナログ管理に移行しました。

無印のペーパーファイルを使って文献を分類し、自分で適当にアウトプットしながら、つまり、書きメインで必要なもののみ抜粋し他は念の為保管しておくにとどめる。

でもアウトプットしている分だけ理解は深まってしまい、結局アナログが一番~になってしまったのでした…。

だって、その文献のPDFがないもん(←最後はここに戻ってくる)